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zoom RSS やっと観ました!「バッシング」〜これからおでんはつゆダクで(笑)

<<   作成日時 : 2005/11/20 16:00   >>

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第6回東京フィルメックス、開催中!

こちらの過去記事で予告したとおり、東京フィルメックスにて、小林政広監督、「バッシング」を見てきました!

B000KRNDWAバッシング
占部房子 小林政弘 田中隆三
GPミュージアムソフト 2007-01-25

by G-Tools


国内外から駆けつけた観客でほぼ満席の有楽町朝日ホール。
上映前に監督と、主演の占部房子さんを始め4人の出演俳優が
舞台挨拶に立ち、とても華やかな雰囲気でこのプログラムは幕を開けました。

「しょせん映画はウソッコの世界。気軽に楽しんでください」

と控えめな小林監督とは対照的に、
「監督は日本のアキ・カウリスマキ、占部房子は日本のジュリエット・ビノシュだ!」
と意気軒昂な香川照之さんの言のあと、いよいよ映画が始まりました。

映画は…

異国へボランティアに赴き、人質事件に巻き込まれて帰国した有子が、
ソーシャル・バッシングを受けて苦悩する日々を描き出します。

過去記事で「絶対見に行く!!」と鼻息荒かった(笑)私なので当然、期待度も大。
この映画はその期待に応えてくれたかというと…

思った以上にいい映画でした。

この映画は、「バッシング」事件についていいとか悪いとか、声高に叫んだりはしていません。
まるで小林監督の人柄を、そのまま反映しているようです。

でも静かに、力強く、観るものの心に迫ってくるものがあります。

-「普通の女性」が異国にボランティアに行くことを、私たちはどう思うのか。

-そこで人質になったことを、どう思うのか。

-有子とその家族に対する周囲の人々の反応を、どう思うのか。

たくさんの問いかけが、私たちに迫ってきます。

有子を取り巻くたくさんの人々、職場の上司や、行きつけのコンビニの店員や、元恋人や、
結婚して子供のいる同級生…それらの人々の言葉が、
バッシング渦巻いていた当時のマスコミの論調と世論を代弁するように、
有子にぶつけられていきます。

そして最終的に、有子はある決断をくだすのです。
それは、ごく自然ななりゆきでした…。

…見終わって、胸が熱くなる思いでした。

その興奮も冷めやらぬまま、監督との質疑応答タイムが始まりました。
観客席からは、とても活発に監督への質問の手が挙げられました。

有子のキャラクターについての質問に、
「どうしてこんな素晴しい人が、バッシングを受けなきゃならないんだ」という風にも、
有子は悪い人間、という風にも、どちらにもしたくなかったという小林監督。
あえて意図的になることを排除し、普通の女性像を描きたかった、
という監督の言葉に、思わず心の中で大きくうなずきました。

ボランティアに行く人のすべてが、マザー・テレサみたいに
崇高な精神を持ってるわけじゃないし、
そうでないとボランティアに行けないわけでもない。

ボランティアで得られる充実感は、時に自己満足であったり、現実逃避であったり
するかもしれない。でもそれが、「普通の人間」ってものですよね。

そして面白かった質問は、

「どうして有子はあんな変わったおでんの買い方をするんですか!?」

というもの。映画の中で有子は、コンビニのおでんをわざわざ1種類ずつ違う容器に入れさせて、
それぞれの容器にスープを並々と注いでもらうのです(笑)

私は映画を観ながら、有子の意志の強さの現われかなぁ、
なんて勝手に納得していたのですが、監督の意外な答えは、

「自分がこういう買い方が好きだから」

(笑)

監督自身も、鬱々としたときは外に出たくなく、部屋にこもっていると喉ばかり渇くので
つゆダクのおでんを買ってきて、汁をごくごく飲み干すのだそうです。

その後、さらにわざわざ補足して監督が言うには、
佐野真一のドキュメンタリー『東電OL殺人事件』の中でも
OLがこの買い方をしていて、ウラはとれてるとのこと。
(そんなことまでウラをとらなくても…(笑)

(質疑応答の詳細は、きっと公式サイトに明日あたりアップされると思いますので、
これ以上はそちらに譲ります。)

最後に司会者の方の、「今日は映画会社や配給会社の方も見えておられますね。
どうかこの映画の日本公開に手を差し伸べてもらいますよう」という熱のこもった言葉と共に
上映会は終了しました。

映画「バッシング」は、公平な視点であの事件を描くことによって、
日本人のメンタリティを浮き彫りにしていく優れた映画だと思います。

ストーリーはすべてフィクション、でも、イラクで人質になった人がバッシングを受けたことは事実。
そのことだけ念頭において、あとは真っ白な心で観ていい映画だと思います。

前の記事のコメント欄で「バンクーバーより」さんがおっしゃっていた

>全国上映はもちろん、高校あたりの教材としてもお勧めしたいです。


という意味が、観て納得いきました。
これは、とてもたくさんのことを考えさせてくれる映画だし、
みんなで話し合うには格好の題材です。

だからぜひ、もっともっとたくさんの人に観てもらって、
日本人のメンタリティについて、みんなでケンケンゴウゴウ話し合いましょうよ。

そしてそんなオープンな雰囲気を、これからのマスコミには
築いていってもらいたいのです。
どうかどうか、お願いします。




【2005年11月30日追記】
「バッシング」が第6回東京フィルメックスの最優秀作品賞を受賞しました。

授賞理由:「テーマの重要性と内容に適合したその映像スタイルを評価します。
審査員一同は、人々が思いやりの持てる社会となることを願い、この賞をおくります。」

おめでとうございます!
これを機に、全国で一般公開されることを願ってやみません。

*受賞記念のイベント&上映会があるみたいです。
またまた「バッシング」を観られるチャンス!
限定人数のみみたいですが、興味のある方は下記をご参照ください。

ボクの映画渡世帖 小林政広

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『バッシング』観た
2泊1日日帰り東京はキツかったです。帰って2日ブッ倒れてました… 病院行ったら「昼間に起きてしまったから」と診断されました。 ...続きを見る
猫造@燃いぜ!!いちおー社長よ。個人事業...
2005/11/23 06:52
【映画】『バッシング』愛に関する短いフィルム
...続きを見る
Badlands
2005/11/24 13:33
バッシング
【映画的カリスマ指数】★★★★★ ...続きを見る
カリスマ映画論
2006/06/18 23:11
バッシング
第58回のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門参加で現地で話題になり、東京フィルメックスコンペティション部門最優秀作品になり、海外では公開が決まりながら日本ではしばらく配給先も決まらずに一般公開されなかった映画です。北海道のとある海辺の町のホテルでリネン交換のアルバイトをしてる高井有子(占部房子)は、突然ホテルの仕事から解雇されます。理由は「職場の雰囲気を悪くしている」ということ。実は有子は半年前、中東の戦時国でボランティア活動をしている最中に武装グループに人質となり、無事に解放されて帰国... ...続きを見る
かたすみの映画小屋
2006/06/27 01:05
「バッシング」
「バッシング」 監督 小林政広北海道のとある海辺の町で暮らす高井有子は、突然、アルバイト先のホテルをクビにされた。有子は中東の戦時国でボランティア活動をしている最中、武装グループに拉致・監禁されて、人質となった。無事に解放されて帰国したものの、自己責任... ...続きを見る
SolPoniente
2006/09/09 10:58
唇をかみしめて
『バッシング』を観た。 一生ついていくと決めたトム・ウェイツの傑作デビューアルバムのタイトル、 『CLOSING TIME』小林政広監督最新作。 &nbsp; 2004年、中東で起こった日本人人質事件。 帰国した女性は“自己責任”を問われ、激しいバッシングを受け... ...続きを見る
ふかや・インディーズ・フィルム・フェステ...
2007/03/25 18:25
mini review 07049「バッシング」★★★★★★☆☆☆☆
カテゴリ : ドラマ ...続きを見る
サーカスな日々
2007/05/20 05:53

コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
コメント&TBありがとうございました。

やっぱりこれは見る人によって考え方とか違うだろうから、とにかく、見れ!としか言えない映画だな…って思ったりしてます。

とにかく、上映してくれ、ってことですね〜
それが出来ない日本はまだまだ心が狭いぞ、と。
猫造@
2005/11/24 16:58
猫造@さん、こちらこそありがとうございます。
配給がつかないってから、もっと政治的な映画かと思ったら、全然そんなことなかったですね。判断は観客にゆだねる作りだったと思います。

日本人の精神性は幼児並みだと欧米には思われているとか。都合の悪いものを後ろ手に隠しているようでは、幼児と思われても仕方ありませんね。
一般公開してほしいものです。
ぴむ
2005/11/24 20:16
ついに上映されたのですね!知らなかった・・・忙しさにかまけてると、いろんな大切な情報を見逃してしまいますね。

ぴむさんの記事を拝見する限り、じっくりと考えさせてくれる映画に仕上がっているようですね!なんだか、自民党圧勝以来、政治的にどんどんまた納得できない方向に向かっている今こそ、見るべき映画なんでしょうね。今後きちんとした形で上映されればいいな。

おー!
2005/11/24 23:53
でした。すんません。ほんと、ぽんだ。
おかぽん
2005/11/24 23:54
おかぽんさん、こんにちは。
小林監督がおっしゃっていたのですが、
このようなバッシングはアメリカにもあるということで、他国へ戦争を仕掛けた国特有のものじゃないですかね…と静かにおっしゃっていたのが印象的でした。

「外国の人質なんかになられちゃあ、国はいい迷惑なんだよ!」という右翼的な発想。ああ怖い。
日本はどこへ行くんでしょう?
ぴむ
2005/11/25 09:30
ぴむさまのおかげでこの映画のことを知ることが出来て感謝しています。一般公開されたのは非常な僥倖でした。まさに「バッシング」というものを描いた繊細な作品でした。このような映画がもっと上映されるようになればいいんですけどねえ。
私的にはファレリー兄弟監督の知的障害者を扱った昨年末の小ヒット作、『The Ringer』が上映されないのも釈然としません。
サンタパパ
2006/06/27 01:00
サンタパパさん、こんにちは。
「バッシング」観られてなによりです!
映画ファンは、こういう映画が観たいんですよね。
「The Ringer」のこと初めて知りました。コメディみたいですね。深刻な問題を明るく取り上げた映画というのはとてもいいと思うのですが、上映する勇気がないのだとしたら、日本の映画界もちょっと情けないですね。単に儲からないと思っているだけなのかもしれませんが…。
ぴむ
2006/06/28 09:43
『The Ringer』にしても、単に儲からないというのも当たりだとは思います。ただ、その儲からないと思うのがなぜなのかが、重要なポイントだったりすると思います。
それに加えて、今はいろんな「タイアップ」で映画の本質に関係なく金が回収できればいいような時代でもあるのかなあ。
『The Ringer』は実際、本国では初登場7位のそれなりにヒットしたコメディだし、コメディの王道を判っている監督なので割と面白くてホロッとさせて、ハッピー・エンドなんですよ。
サンタパパ
2006/06/30 00:04
TBありがとうございました。
こちらに感想があることに気がつかず・・
地方なので、今、上映中です。
日本人の「村八分」精神を見つめるきっかけをくれる良い作品だと思いました。
rino
2006/09/09 11:03
rinoさん、こちらこそTBありがとうございました。地方にも上映が広がっているんですね。ぜひ多くの人に見てもらいたい映画だと思いましたので嬉しいことです。有子は優等生ではありませんが、ちょっとでもアクの強い性格だとはじきだされてしまう社会ってどうなんでしょう。能力のある人がどんどん海外へ流れていっちゃうような気がしますけどねえ。
ぴむ
2006/09/09 17:22

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