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zoom RSS 「蟻の兵隊」から「太陽」へ・・・

<<   作成日時 : 2006/08/16 16:46   >>

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昨日は「蟻の兵隊」、そして今日はソクーロフの「太陽」を見てきました。

B000MEXANI太陽
イッセー尾形 アレクサンドル・ソクーロフ ロバート・ドーソン
東北新社 2007-03-23

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【関連過去記事】
イッセー尾形「昭和天皇」日本公開決定…ロシア映画「太陽」

銀座シネパトスは人人人。
日本公開不可能?とまで言われたこの映画が、フタを開けてみればこの大盛況。
上映1時間前に行っても「立ち見の可能性があります」だって。
本来ならば、銀座ならシャンテシネあたりでやるはずの芸術映画なのに、地下鉄の轟音が響く元ポルノ映画館の地下劇場シネパトスでの公開ですよ。
整理券もらって集合時間から入場まで待ってる間、地下は蒸し暑いったらありゃあしない。
そしてなぜか夏目房之介先生を見かける。

さて映画のほうは、まずイッセー尾形の演技がともかくスゴイ。
今までコメディ・ロール専門に演じてきたお笑い芸人&俳優である彼が、
昭和天皇という世紀の難役をユーモラスにエキセントリックに、しかし決して威厳を失うことなく見事に演じきっています。

「誰かが天皇を演じる」ということさえ、今までタブー中のタブーでした。
おそらく日本人にしか理解できないであろうその大きなタブーを打ち破るに当たって、
イッセー尾形氏はどこかのインタビューで、「まだ起こってもいないことをあれこれ考えて、心配したり恐れたりするのはやめにしよう」と決意した、ということを言っていました。
そんなイッセー尾形氏と彼の事務所の英断に、拍手を送りたい気持ちになります。

この映画の天皇の姿を見て、「愛すべき」と思う人もいるだろうし、「滑稽」「エキセントリック」に感じる人もいるだろうと思うのです。
キネマ旬報なんかの批評を読んでいると「愛すべき」という見方の評ばかりです。
てか、それ以外の批評を書くのには、とんでもない勇気が必要とされるわけで(笑)、キネ旬存亡の危機でしょうからきっと。

たしかにこの映画では、ユーモアと人間味にあふれる天皇の姿が描かれています。
そんな昭和天皇と会見したマッカーサー司令官は、彼がヒトラーのような独裁者とはまったく性質を異にしていることを理解します。
そして、自分を神とするのをやめれば、人々は寛大になるはずだとほのめかすのでした。

しかし、「愛すべき天皇」という見方だけでは一面的だし、それがこの映画のすべてではないと私は思うのです。

特に私なんかは、前の日に「蟻の兵隊」を見てきて、「天皇陛下万歳」と言いながら死んでいった一兵卒の話を聞いて、その「天皇」の実態がこれだ、と思うと、なんともいえない気持ちになります・・・。

大空襲で東京が廃墟になって、皇居だけがパラダイスのように残っている、そんな中で行われるマッカーサーとの会見。

終戦直前、天皇が日々の日課の海洋生物の研究に没頭している間に、
「戦争を止められない」と悩んでいる間に、いったい何人の命が失われたのか。
映画の中では天皇の昼寝の夢に、大空襲の映像が差し挟まれます。
醜悪な黒い巨大な魚たちが、次々と小魚の爆弾を落として街を焼き尽くしていく・・・。

エキセントリックで子供のような天皇。
この人が、日本をとてつもない戦争へと向かわせたのか。
責任はこの人にあるのか。
そういったことも、自然に考えてしまいます。

そして、天皇だけに責任を負わせても、戦争の本質を追求することにはならないということも、思い知らされるのです。

映画の最後のシーンで、天皇が決意した「人間宣言」を受け入れられなかったのは誰なのか・・・。そういったことまで示唆されるにいたって、私たち日本人にはさらに難しい問題がつきつけられます。

この映画を見ても、何も答えは出ません。
しかし、考えることさえタブーとされてきたことについて、考える機会を与えてくれる映画だと思います。
この映画への思いは、人それぞれでいいと思います。いろんな観点で見て論じるべき映画だと思います。

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試稿錯誤
2007/05/28 18:09

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
初めまして、「太陽」大変興味深く読ませて頂きました。NHKで「戦争と文学」というテーマを扱った番組の中で、最近初めてこの映画の存在を知り、とても気になっていました。私は田舎に住んでいるので実際に観れるかどうかは分かりませんが、イッセーさんはとても好きな俳優さんでもあるので、是非観てみたいです。
meihua
2006/08/27 02:28
meihuaさん、コメントありがとうございます。「太陽」はあまりの反響に、徐々に上映館が拡大されているようです。お近くの劇場までくるといいですね。もしダメでも、この分だと後日きっとDVDが出るでしょう。イッセー尾形の時にコミカルな演技、よかったです。
ぴむ
2006/08/27 21:04
とうとう今日「太陽」観てきました!
書きたいことはいっぱいありますが、ほとんどぴむさんと同じような事を映画見ながら思いました。
私は、正直に自分の意見を書けずに「慎み深いアジア人(苦笑)」になってしまいましたが、深く、深く、重く、静かにこの映画は胸に響きました。
時にコミカルでもあったこの映画、侍従長の「わたくしはあられの方が好きです。」思いっきり笑ってしまいました。
でも、うちの地方の劇場はクーラーの音でイッセーさんのか細い声が、もうファンの音で更にかき消されて(涙)
meihua
2006/09/26 01:01
meihuaさん、映画館で観られてよかったですね!東京の映画館もガード下にあるので、ゴーゴー言う音が映画の中の空襲の音かと思ってしまうという(笑)。
佐野史郎の「あられ」発言にも笑いましたが、イッセー尾形の「はい、チョコレートおしまい!」も笑いましたよ。
あと、天皇からハーシーズのチョコをもらった科学者の人、あのチョコ一生食べられないんだろうなと思いました。額に入れて今も家宝になってるんでは(笑)
ぴむ
2006/09/26 20:20
>この人が、日本をとてつもない戦争へと向かわせたのか。
>責任はこの人にあるのか。
>そういったことも、自然に考えてしまいます。

こういうものを色々読んでから書いた方がいいんじゃないですか?
http://www24.big.or.jp/~uyotama/sekinin6212.html
…。
2006/09/29 14:07
そういうのは間に合ってるんですが…
というか、そりゃあの戦争の責任のいったんはアメリカやイギリス、そして国民にもあるのかもしれません。しかし、たとえば現在格差社会の拡大ということが言われてますが、それを「国民が選んだ政治家のやったことだから、すべて国民の責任である」ともいえます。が、それを言っちゃあ元も子もないでしょう。やはり為政者や指導者には重大な責任があるわけです。
とはいっても私は、戦争の責任がすべて天皇にあるとは思っておりません。まったくないとも思っていませんが。
ぴむ
2006/09/29 21:25

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