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zoom RSS 橋の日/ ゆれる (06・日)

<<   作成日時 : 2007/08/04 21:40   >>

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8月4日は「橋の日」。

宮崎県の湯浅利彦さんの提唱により
「橋の日実行委員会」が1986(昭和61)年に制定。
「は(8)し(4)」(橋)の語呂合せ。
私達の生活と文化に密接な関りを持つ川や橋に感謝し、
橋や河川との触れ合いを通して故郷を見つめ直す日。


橋といえば、ゆれるつり橋の上で起こったある事件と、
兄弟の心の揺れを描いたこの映画。

ゆれるゆれる
オダギリジョー 香川照之 伊武雅刀


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いやもう、オダギリジョーと香川照之の演技合戦。
本作ではどちらかというと、香川照之に分があったような。
伊武雅刀、蟹江敬三ら、脇を固める俳優たちもとてもいいです。

都会で自由気ままに生きる弟・猛(オダギリ)と、
田舎を出られない兄・稔(香川)。
幼なじみの智恵子が、稔と揉みあううちにつり橋から落ちたのは、
事故だったのか事件だったのか…。

以降、この映画は感想を書くと必然的にネタバレになって
しまうので、まだ観てない方はご注意を。


目撃者として、最初は必死に兄をかばおうとする猛。
しかし、留置所で弟への嫉妬心や反感をあらわにし始めた兄に、
弟の心は微妙に揺れて…。

自由な弟と縛られる兄、幼なじみとの三角関係という
話の展開は、今思えば、いささか類型的すぎて
古臭くはあるけれど…。

温厚で優しく見えた人間が鬱憤を爆発させるとき。
家族をかばうのが当然と思っていたモラルが、
ふと揺れるとき。
人間の心の奥底を描いた人間描写に、観ているこちらの心も
揺れるようでした。

さらに心に突き刺さったのは、事件の真相は、結局当事者にしか
分かり得ないものだったということ。
目撃者の猛が、本当にすべてを見ていたのかどうかも、
観客には最後までわからないのです。

猛の証言は、心の揺れと共に二転三転します。
そんな状況の中で、裁かれる兄。
こんな大きな揺れ幅の中で、人が裁かれるということの不条理さ…。

もうひとつ印象に残ったのが、稔が経営するガソリンスタンド
の従業員(新井浩文)が登場するファミレスのシーンでした。
彼は猛に言います。兄をかばう証言を翻したことは
人間として最低だと…。

真実はどうあれ、家族を救うことこそがモラル。
きっぱりとそう言い切れる彼は、揺れのない、幸せな、
でも俗物な人間の象徴だったかもしれない。

けれど猛も、本当に真実への欲求から証言を翻したのか、
それは怪しいもの。「優しい兄」という虚像が壊れたときに
彼は何を思ったのか。猛は最後まで、身勝手な人間だったような。

秀逸なラストシーンは、二人の関係の修復を予感させるけれど、
二人は間に深い溝を残したまま、必死に何事もなかったように、
これから生きていくのかもしれません。

さて、この映画を観終わって、多くの人は、
つり橋の上で起こったことは事故であり、
稔による殺人ではなかった、ということで、
決着されているのでしょうか。

私はこれは、実は映画が終わってみても分からない、
というのが本当ではないかと思います。

先にも書いたように、真実は結局当事者にしか分からない。
いや、当事者の稔でさえも、事件と事故の間で揺れている状態だし、
こうなると、橋から落ちた智恵子が生きていない限り、
ほんとうの真実はわからない。

こういうのって、実はどんな事件でもそうなんだと思います。
目撃者がいたと言ったって、

「人は自分が見たいと思うものしか見ない」

そういうものだから。

そんな現実の中で、人が人を裁くことの是非とは・・・
…そこまで言うのは、これはたぶん私の深読み(笑)


しかし、ラストシーンのその後に何が待っているのか、
稔の最後の笑顔は何を意味しているのか、
真実が分からないからこそ、
すべての解釈は観客にゆだねられているのだと思います。
この映画にも、人の心にも、結論はないような。

そんな気がして、ほんとに心が揺れる映画でした。


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≪ゆれる≫(DVDレンタル@2008/01/01)
元旦の昼は<バーミヤン> で食事した後にすぐ隣にあるレンタル店へ 今年一本目の映画に何を観ようかと悩んだ結果… ...続きを見る
ミーガと映画と… -Have a goo...
2008/01/15 16:34

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。奇遇です! ちょうど借りて見たところです。私も何が真実か分かりませんでした。裁判で、「双方の言い分が食い違う」っていうのは当たり前で、だから裁判になってるのでしょうが、それが実の兄弟ではつらいですよね。それから、事実と真実ってのもありますよね。客観的な「事実」と主観の入ったその人にとっての「真実」。それって裁けないしどっちが正しいって言えません…汗。

そんな私がもっとも感じたのは、「人間やっぱ顔か」ということでした。もしオダギリジョーと香川照之のキャストが逆だったら、または香川照之の役を玉木宏や藤木直人や坂口憲二が演じていたら、「生理的に受け付けない」とか言われずに、幼なじみも喜んで兄と結婚してハッピーエンドですよ。やっぱ人間顔なのね。顔で人生変わるのね…。としみじみ感じて鏡を見てしまいました。
hoisam
URL
2007/08/06 15:45
hoisamさん、奇遇でしたね!
ほんと見た後、いろいろ考えてしまう作品でした。
それにしても、「世の中やっぱ顔」説には笑ってしまったというかナットクというか。いやいや香川さんだってステキだと思いますが、相手がオダジョーでは、そりゃ私もどっちとるかって言われたら、オダジョーにさせていただきます!
しかし「生理的に・・・」って、一番キツイ言葉ですよね。生物的存在そのものを否定すんのかいっ!って。本気でこの言葉を言われたら、ブチ切れても情状酌量の余地ありありですよね…。
ぴむ
2007/08/06 21:00
そうそう、努力でどうなるってもんじゃないですからね、生理的にって。検察官もキム兄だから、よく分かったのでは?それこそ検察官が要潤で、生まれて一度もそういうの言われたことなかったら、きっと10年はくらってたのに、キム兄だから「分かるよ」って、情状酌量で7年で出られた。だって7年前ってついこの間でしょう。人ひとり殺して7年は軽いですよ…。

しかし女性はみんなオダギリジョーが好きですよね(私も)。嫌いって言う人に会ったことがない…。
hoisam
2007/08/07 02:22
そういえば、「嫌われ松子」は、人ひとり殺して懲役8年でしたよ。「裁判所は女には厳しいからね」っていうセリフがあったけど、男が女を殺すより、女が男を殺したほうが罪が重くなるってのも、なんとも不条理ですね。

たしかにオダジョーは、男女とも「嫌い」っていうコメントをあまり聞かないです。不思議ですね。ふつう人気俳優って好き嫌い分かれるのに。そういえば、オダジョーはhoisamさん&私と同じ、元オカヤマ人なんですよね。私たちも、人気者でいきましょうよねー!?
ぴむ
2007/08/07 21:38
いい映画でしたね。
自分も故郷を捨ててきた人間なんで、かなり身につまされたですよ。

演技合戦は、自分は間違いなく香川に軍配!すげー芝居だ、と思いました。

ついでに裁判からみで、「自白」の信憑性の論理は、「人は見たいものしか見ない」はずで、だから人が自分に不都合なことを自白するのは、犯罪を犯した人間だからこそ・・という論理が無意識にまかりとおっているからではないでしょうか。

そんなもん簡単に変わっちゃうことも、この映画の隠れたサブテーマかもね。人の主観による目撃も自白も、あてになんないよ、と。
おかぽん
URL
2007/08/09 00:25
自白に頼る日本の警察・裁判制度、難しい問題ですね。

>そんなもん簡単に変わっちゃうことも、この映画の隠れたサブテーマかも

深読みかと思ったけれど、やっぱり考えちゃいますよね。

ちょっと話が飛びすぎかもしれないけれど、人間の心理も事実認識も、いくらでも「ゆれる」ものだからこそ、私は死刑っていけないと思ってるんですよね。

死刑廃止論については、いつか何かの映画にかこつけて、改めて自分の考えを書きたいと思っています。
まずは、議論ぐらいタブーなくできる世の中を作らないとねー。

ぴむ
2007/08/09 20:38
ぴむさん、こんにちは!
こちらも拝見しました。
ぴむさんって本当に洞察力が深い上に表現力もありますね。読みながら思わず「うんうん」頷いてしまいました。
>「人は自分が見たいと思うものしか見ない」
納得です。稔と猛も心が揺れ動いてましたが、観ている方も「真実らしく思われることは本当に真実なのか?」というような意味で既成概念が揺さぶられるような感じでした。

CD
2008/08/05 14:26
CDさん、読んでいただきありがとうございます。
この映画もラストシーンといい、いろんな解釈ができますよね。当時映画館を出ようとしたら、おばちゃん二人が「だから〜、わざと落としたのよ!?」「えーっ、違うわよ!!」って言い争っていたのを思い出します(笑)。
そんな会話を聞きながらいろいろ考えた割には、ラストシーンのあの後、稔はバスに乗ったのか、実はいまだに判断がつかないです。香川照之はどっちのつもりで演じたのか、聞いてみたいです。
ぴむ
2008/08/11 20:48

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