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zoom RSS 空の日/ TOKKO -特攻- (07・米) と小説『帰還』

<<   作成日時 : 2007/09/20 22:06   >>

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9月20日は「空の日」。

1940(昭和15)年に「航空日」として制定されていましたが、
運輸省航空局(国土交通省)が1922(平成4)年に
「空の日」と改めました。
1911(明治44)年のこの日に、和歌山県出身の山田猪三郎が
開発した山田式飛行船が滞空時間1時間で
東京上空を20qほど飛行したことを記念しています。


というわけで、この夏公開されて、けっこう話題になった
この映画。

「TOKKO -特攻-」

画像


【公式サイト】
http://www.cqn.co.jp/tokko/


映画の冒頭、特攻隊の生存者の一人が、
日系二世の映画監督、リサ・モリモトに
出撃前の戦友の写真を見せながら、
「顔に死相が出ているでしょう」と言ったのが衝撃的でした。

特攻隊といえば、お国のために覚悟を決めて
命を捧げた勇敢な兵士たち、などと言われます。

そう言えば美しいようだけれど、
出撃前にすでに死相をたたえていた兵士たちの
本当の心のうちは、実際どのようなものだったでしょうか。

特攻生存者の一人、中島一雄氏は語る。

「いつの間にか特攻の名簿に自分の名前が載っててね、
アジャパー!と思ったねえ」

・・・お茶目なオッサンです。

とうとう出撃した中島氏。敵艦に突入するべく、
グラマン掃射を勇敢にかいくぐったらもう
全身傷だらけになり疲労困憊してしまい、

「あー、もう帰ろ帰ろ」

と言って、帰ってきたそうな・・・。

そんな生存者のナマの証言からは、

「お国のために自ら志願し、潔く散っていった」

などと言われる特攻隊のイメージとはかけ離れ、
非常に人間的な、普通の人間の姿が
浮かび上がってくるのでした。

今だから言える、ということもあるのかもしれませんが、
それを引き出した監督は、非常に貴重でタイムリーな
仕事をしたと言えるのかもしれませんね。

またこの映画には、特攻を受けた側のアメリカ兵士も登場し、
恐怖の戦争体験を語ります。

今もトラウマが残る彼らも、日本の特攻生存者と面会して、
彼らが神がかりの不気味なテロリスト集団などではない
普通の人間だと分かって、やっと安堵できたのでした。

とまあ、日本人なら知っておくべき
特攻隊の真実が分かりやすくまとめられているし、
貴重な当時の写真や記録フィルムなども
ふんだんに使われているので、若い世代は特に必見だと思います。

が、ふだん戦争関係の書物やドキュメンタリー番組に
よく親しんでいる人にとっては、さほど目新しい事実も
ないのかもしれないな、という気もしました。

実のところ、特攻を日本側とアメリカ側の両方から描く、
というだけでは、まだまだ不十分な面もあるわけです。

それに気づかせてくれたのが、この本でした。

帰還帰還
ソナム


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これは、最近このブログによくコメントを寄せてくださる
ソナムさんが自費出版された著書です。
一枚の特攻隊員の写真を巡って、一人の女性が旅をする物語。

日本のために散っていった特攻隊員は、韓国人だった。
そのようなことも、あったのですよね。

この小説では、ある日本人女性と韓国人男性との交流を通して、
現代につながる特攻の歴史が、
日韓両方の視点から公平に描かれています。

出撃した特攻隊にも生存者がいたこと、
特攻隊員の心のうちが決して「死」ばかりではなかったこと、
そのような知られざる事実が映画「特攻」よりも早く
本書の中に示されていたことに、とても感銘を受けました。

恋愛や将来への不安に悩む青年たちの青春小説でもあり、
冷静に歴史を見つめた小説でもあり、
これもぜひ若い世代に広く読んでほしい本だなあと思います。

戦争については、とかく賛成反対の二元論に
なりがちですが、いろんな角度から見直してみることも
大切ですね。
さまざまな映画や書物に触れて、これからも
みんなで考え続けていきたいものです。


*ソナムさん、素敵な本を送ってくれてありがとう。



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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
リサ・モリモトというと、女性の監督でしょうか。 地方では公開されなかったので(どこから地方でしょうね^^)全く知りませんでした。 特攻に限らず思うのは、「書いた人の言葉しか資料として残らない」ということです。百年後、一方の立場でしかコメントが残されていなければ、一方の見方しか残りませんよね。そういう点で、ドキュメンタリーというのは、制作者の意図があるとしても、それが製作され、公開され、世に問われていくことは大切だと思います。  人が一人死ぬことは、大きな図書館が消滅するのと同じことだ、という言葉を聞いたことがあります。「戦争を知っている人々」に、たくさんの話や考えを残していただきたいです。
「戦争が終わって生まれて、戦後のまま死んでいける人」ばかりになっていく方がいいと思います。
通りすがりの者です。
2007/09/22 23:29
通りすがり、さん、コメントありがとうございます。
リサ・モリモト監督は女性ですね。彼女の叔父さんが元特攻隊員だったわけですが、生前そのことは全く語らなかったそうです。

私の祖父も戦争経験者ですが、やっぱり戦争のことはぜんぜん語らないし、亡くなる前に自分史を書いていたけど、戦争の時代の所がすっぽり抜けてるんです。当事者にとっては、それほど語りにくい体験なのでしょうね。

それを引き出したモリモト監督もすごいし、語ってくれた生存者の方々の勇気もなみなみならぬものがあるのでしょう。私たちも、耳を傾ける努力をしていきたいですね。戦争体験を学びつつ、実体験では永遠に「戦争を知らない子供たち」でいきたいものです。
ぴむ
2007/09/23 22:57
TOKKOU−特攻− 見てきました。
う〜ん…考え込みました。 すごくドライに映してあったわりには、何となくしっくりこない…。私が肩入れしすぎているからかもしれませんが。
「アジャパー」が、どこで出るかを楽しみにしていました。 そ〜か、ここか、と思わずにんまり。 周りには「彼らと同世代」の人がたくさんいらしていて、感想を述べながら見ておられました。
2本で2800円につられて見た「私たちの幸せな時間」の方がインパクトがありました。 でも、「特攻」はじわじわと効いてくるかも…。
ソナムです
2007/10/08 17:27
ソナムさん、遠路はるばるお疲れ様でした!見られてよかったですね。
リサ・モリモト監督、たしかに一抹の食い足りなさも残るんですよね。やっぱり「外から見た特攻隊」だから、その視点が貴重とも言えますが、これだけが真実でもないんですよね。
でも当の日本で、君のために死にに行っちゃう!みたいな映画しか作れないんだから、やっぱリサ監督、よくやってくれたなとしか言えないです。
「幸せな時間」って、死刑囚のやつですよね。ちょっと興味はあったのですが、見逃してしまいました。よかったらまた感想聞かせてくださいね。
ぴむ
2007/10/08 22:01
「私たちの幸せな時間」は、あのイケメンのカン・ドンウォンさんが、そのイケメンぶりでなければならない役と、死刑囚としての気持ちの揺れを見事に演じきった、という感じです。配役のバランスも良く、誇張もなく、リアルなドラマでした。いろいろなことを考えさせられましたが、入れ替え時間10分で「TOKKO特攻」を見たためにふっとびました。また見たい、と久々に思いました。
ソナムです
2007/10/09 23:34
死刑囚がイケメンでなければならない理由とは!?(笑)。とても気になります。
私は死刑執行官の苦悩をドキュメントした大塚公子の本を読んで以来、死刑について考えるようになりました。社会的便宜のために人を殺すのは、つまるところ戦争と同じでは、と思います。
ぴむ
2007/10/14 01:04
「私たちの…」でも、刑務官が「国家が人を殺していいのか!?」というシーンがありました。国家の意志というのは、われわれの総意である、と考えれば、死刑にしているのは私たちなのでしょう。
自分の安全を確保するために、可能性を持つものを殺す、あなたがおっしゃるとおり、戦争と同じですね。
ソナム
2007/10/15 22:19
ソナムさん、
死刑が国民の総意かと思うと、議論の余地もなく一刻も早く止めてほしい気持ちでいっぱいになります。私は処刑になんか加担したくないですもん。だから、死刑判決のニュースを聞くたびに、気持ちが暗くなるんですよねマジで。最近とみに多いですからね・・・。
人を殺すというこの過ちが、早くやむことを願います。鶴の一声で死刑廃止したフランスのミッテラン氏は偉かったな。
ぴむ
2007/10/17 23:57

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