母親大会記念日/ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000・デンマーク)

6月7日は「母親大会記念日」。

「生命を生み出す母親は、生命を育て、生命を守ることをのぞみます」という力強いスローガンのもとに、
1955(昭和30)年のこの日、第1回母親大会が開催されました。

今日の映画は、母親の愛がテーマのこの作品。
B00005L97Nダンサー・イン・ザ・ダーク
ビョーク,  ラース・フォン・トリアー,  カトリーヌ・ドヌーヴ


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とても哀しいミュージカルです。


泣ける映画というよりも

「泣ける映画」ということでヒットしたけれど、
それよりもともかくもう、ビョークの才能に酔いしれるための映画ですよね。
私はビョークのことは何も知らなくて、なんの予備知識もなく観たけれど
忘れられなくなってしまいました。

ミュージカルといえば明るく楽しい夢の世界と相場が決まっていたのに、
この映画の世界は、貧困、失明、盗み、殺人、そして刑罰…
そんな中で繰り広げられるミュージカル・シーンは
ものすごく斬新でした。
セルマが見えない目で線路を歩きながら "I've Seen It All" を歌うシーン、
美しかったです。


テーマは母の愛

この映画の中で、たったひとつの明るい光はセルマの息子への愛。
息子ジーンの目が、母からの遺伝で失明しないように手術を受けさせることだけが
セルマの望みで、そのためにこつこつお金を貯めている。

そんなセルマに、心優しいジェフ(ピーター・ストーメア)は好意を寄せています。
でもセルマは、決して彼の気持ちを受け入れません。
情けをかけられたくない、ということもあるのでしょうが、
何よりセルマは、「母親」でいたかったのでしょう。
それだけが、彼女の誇りだったから。

殺人罪に問われ、投獄されるセルマ。
ジーンの手術のお金を守るため、
あえて裁判のやり直しもせずに、死刑につこうとするセルマを
親友キャシー(カトリーヌ・ドヌーヴ)は必死で説得しますが…
セルマはきっぱりとこう言います。

「あの子に必要なのは、母親じゃなくて自分の目よ!」

セルマにはちゃんと分かっているのです。
子供はいつか母親を必要としなくなることを。
親としていちばん大切なことは、
ひとりで生きていける力を与えることだと。
なんて潔い愛情なのでしょうか。


壮絶なラストだけれど…

そしてクライマックスのミュージカルが、
死刑台に向かう107歩のステップだなんて
あまりにも凄絶すぎます。

絞首刑執行の恐怖の中で、息子が手術を無事終えたことを知り
しっかりと息子のメガネを握り締めたセルマは…。

最初から最後まで、この映画は母と子の物語でした。
目の病気が遺伝すると分かっていて子供を産んだこと、
息子の目のために死を選んだこと、
究極のエゴとも思われるけれど、
でもセルマは、親としての使命を
きちんとまっとうしたんじゃないでしょうか。



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この記事へのコメント

2005年06月07日 13:28
ぴむさん、こんにちは!
心の奥に響いてくる映画でした。セルマがジーンのことを思う気持ちが、とっても切なかった。
Jazz_Funk
2005年06月07日 19:30
はじめまして。
トラックバックをお返しいただきありがとうございました。
近いうちに「ダンサー・イン・ザ・ダーク」も再鑑賞したいと思います。
これからもどうぞよろしくお願いします。
2005年06月09日 00:15
ぐるさん>
ハッピーエンドじゃないけど、私も感動しました。
ラストはショッキングだけど、
でもやっぱり後に残るのはビョークの歌とミュージカル・シーンでした。

Jazz_Funk さん、北欧映画専門サイト、
期待していますね。
2005年06月09日 11:31
そうなんですよね。いわゆるハリウッドのミュージカルとはまったく違うけど、とっても素晴らしいミュージカルでした。
おかぽん
2005年06月09日 23:07
自分もこの映画を見て、強引に泣かされてしまいました・・・

でもあとで思い出すと、あまりに残酷で無慈悲な結末なんではないか、これは・・・と、素直にいい映画だったと声を大に言えなくなっていきました。「ドッグ・ヴイル」を見て、さらにこの監督の性格のひね方が半端じゃない、つーのも理解し、少し複雑な印象になってしまったのがこの映画です。
でも、間違いなくミュージカルシーンの斬新さ、ビョークの尋常じゃない歌の表現力は、映画史に残る名シーンを生み出した作品です。
いつか、思い切って自分もこの映画について語りたいと思います。
2005年06月09日 23:23
たしかに最後は残酷でした…。
私ももう泣くというより、愕然としましたです。
これは監督が死刑制度に反対なのだそうで、
それを反映しているんでしょうね。
おかぽんさんもまたぜひ感想書いてくださいね。
albrecht
2005年09月07日 22:43
とにかく、僕にとっては涙なしには観られない映画で、今回レビューを書くためにもう1回観て、また泣いてました(←バカ)。
>これは監督が死刑制度に反対なのだそうで、
>それを反映しているんでしょうね。
しかし、観客からすると、あれでは「トリアー監督はひどいやつだ」という感想しか抱けないような(笑)。とにかく、徹底的にやる監督ですね。
2005年09月08日 20:11
おっしゃるように、監督が「神」だとするとちょっとやりすぎ?
ビョークも撮影中は本当に精神的に追い詰められていたそうです。そりゃそうだろうな…。
でも、絶望の中で歌とダンスだけが唯一の救い、という設定が、ビョークの才能をより際立たせたことも確かですから、やはり監督、やるなー!ってところでしょうか。
2007年12月12日 15:21
いじめ撃退法