広島平和記念日/ 風が吹くとき(86・英)

8月6日は「広島平和記念日(広島原爆忌)」。

1945(昭和20)年8月6日午前8時15分、米軍のB29爆撃機「エノラ・ゲイ」が、
広島市上空で世界初の原子爆弾「リトルボーイ」を投下しました。
熱戦と衝撃波によって市街は壊滅し、約14万人の死者を出しました。
その後、原爆症等で亡くなった人を含めると、犠牲者は25万人以上にのぼります。
この日、広島市では原爆慰霊祭で世界平和を祈念するアピールが宣言され、
燈籠流しが行われます。


ここ数日、このブログでは怒ったり泣いたり忙しくて(笑)、
大切な記念日をスキップしてしまうところでした。
実は一日遅いんだけど、この映画を取り上げます。

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starsせめてもの救い
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この映画、現在アマゾンでは入手不可能ですね(上の画像は原作絵本のです)。
過去にビデオは出ていたと思うので、
レンタル・ショップに行けば置いてあるかもしれません。


『スノーマン』、『さむがりやのサンタ』で有名なあの
レイモンド・ブリッグスが描いた核の恐怖。

絵柄もタッチも、それら可愛い作品群と変わりなく
あの丸っこく愛らしいキャラクターで描かれているのですが、
その内容は相当シビアです。

風が吹いたら、ゆりかごが揺れる。
枝が折れたら、ゆりかごは落ちる。
赤ちゃん、ゆりかご、何もかも…


というマザーグースの歌にちなんで、
タイトルがつけられたこのお話とは。

イギリスの片田舎で静かに暮らす老夫婦。
ある日ラジオで、戦争が始まるというニュースを聞く。
やがて炸裂する核ミサイル。
きのこ雲があがり、爆風が吹く。
かろうじて命拾いした老夫婦は、やがて放射能に身体中を侵されていく…。

これが実に淡々と、時にはユーモアも交えながら、
夫婦二人の会話劇で進行していきます。
ちなみに日本語版の吹き替えをしていたのは
森繁久弥さんと加藤治子さん。
まさに演劇の趣ですね。

田舎暮らしの二人が外の世界について知ることができるのは、
ラジオとテレビと新聞だけ。
ラジオで戦争がはじまると聞いた二人は政府広報にしたがって、
ドアや床板をはがして組み立てただけの
なんの気休めにもならない核シェルターを作り、
それで放射能が防げると信じ、そしていつか助けが来ると信じて
何も知らないまま死んでいきます。

目に見えず、匂いもしない放射能の恐怖。
髪が抜け落ち、体中に斑点ができ、
口から血を流し、やがてやせ細って死んでいく二人…。


劇場公開当時は「原爆の恐怖の描き方が生ぬるすぎる」
「しょせんは外国人が作った映画、ヒロシマはそんなものではなかった!」
という批判もありました。

でも、控えめな表現の中に、ひしひしと伝わってくる恐怖感がこの作品にはあります。

ちょっと思い出話をすると、小学生の頃、学級文庫に置いてあったマンガ
『はだしのゲン』、私は怖くて手にとることができませんでした。
原爆投下直後の描写だけでなく、絵柄そのものが、なんか怖かったんですよね…。
社会的にとても意義のある作品であることは間違いありませんが、
なんかその辺が、子供の私にはハードルでした。

でも『風が吹くとき』は、絵柄がかわいいので
怖がりな子供だった私でも、手にとって読み始めたかもしれないと
思うのです。
もちろん、読み進めていくとスゴイことになるんですが…。
でもきっと引き込まれて、最後まで読み切ってしまったことでしょう。

子供も大人も抵抗なく目にして、
核兵器の恐ろしさについて考えることができる
この優れたアニメーション映画が、どうしてDVDも出ず、
ビデオも廃盤状態で、風化するがままになっているのだろう。

原爆忌の今日だからこそ、言いたいですね。
『風が吹くとき』のDVD化希望!
そして、大人も子供も、みんなで見よう! って。

*2009年、やっとデジタルリマスターでDVD化されました。

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この記事へのコメント

まゆ
2005年08月07日 15:38
「はだしのゲン」 あたしも、絵画のタッチがなんだか生なましくて、手にとって読むことが出来ませんでした。でも、そぅぃぅ観点から、実際に起こったことに対して、目をそむけよぅとしてぃたのかも知れませんね。
「風が吹くとき」借りてみようと思います。
DVD化されること、あたしも願います。
ぴむ
2005年08月07日 15:54
まゆさん、コメントありがとうございます。
目をそむけようとしていたのかもしれない…
そうですね!
つらい過去でも、それをなかったことにしようとするのでなく、正しく理解して前に進むことですよね。
ビデオ見つかるといいのですが…。
もし見つからなかったら、絵本でぜひ!
いつかDVDが出ますように。
おかぽん
2005年08月09日 00:01
いつの日か、アメリカで広島・長崎の原爆被害の悲惨さを伝える展示が行えるようになることを願いますね。原爆投下がいまだに、単純にやむえない選択だったと感じている人たちに、本当の核の悲惨さを、知ってもらうべきだと思います。この作品も、知ることの、きっかけになればいいなと思います。

自分は小学生に長崎、中学生で広島、と修学旅行で見学して、ある種、いい意味でのトラウマになっています。



ぴむ
2005年08月09日 10:26
おかぽんさん、こんにちは。
この原作絵本は、イギリスでは議会で話題になったこともあるそうです。
アメリカでは何人の人がこの映画を見、絵本を読んだことでしょうね。

地球上に恐ろしい「風が吹くとき」が二度と来ないように。
ジムとヒルダ夫婦の姿が、間違っても未来の私たちの姿にならないように、世界中の人々が考えなければならないことだと思います。
閑人
2005年10月09日 22:37
はじめまして。ヤフブロからやって来ましたm(__)m
この記事をアップしてて、検索してここに辿り付きました。本当にこういう作品こそ、DVDとして残して欲しいですよね…。今でも絶える事の無い戦争やテロのことを考えるためにも、是非DVD化をして欲しいと心から思います。是非TBさせてくださいませ。
2005年10月09日 23:33
閑人さん、こんにちは。
戦争やテロの行き着く先は核兵器…
なんてことにしないためにも、多くの人に観てほしい作品ですよね。

よかったらまた遊びにきてくださいね。こちらこそよろしくお願いします。
サンタパパ
2006年05月23日 12:25
出た当時、絵本を買って大事に何度も見ています。映画もまた、映画ならではの効果のある、すばらしい作品でした。
このような作品はずっと長く多くの人に見てほしいものです。DVD、出ないんですかね。
2006年05月23日 23:48
サンタパパさん、こんにちは。
こういう映画こそDVD化してほしいですよね。

私のレイモンド・ブリッグズとの出会いは絵本「さむがりやのサンタ」でした。「風が吹くとき」みたいな絵本が出てたなんて、映画公開ではじめて知って、けっこうビックリしました。
らいお
2008年06月21日 20:39
こんにちは。
2日かけて今日見終わりました。
見るのも初めてです。
この物語は子供のときに見ればよかったと後悔してます。年をとった今、このお話はあまりにもリアルで衝撃的、見てて辛かったですもちろん涙が。冒頭のボウイの歌もその世界観が表れすぎていてお話に引きずり込まれた感じでした。このお話は大人になって観るとその悲しみと恐怖が身にしみるのは、多分同年代の方も同じように感じたかもしれん、一番大切にしたい人がこの夫婦のキャラクターで置き換えられた感じに思えたからです。生活の様子、洗濯物が干されてる風景、家の中の雰囲気もどことなく里帰りをしたようなのどかな様子です。
そしてゆったりとした性格のヒルダ婦人、どこの国も夫は気を尖らせてるのでしょうかジムの性格、キャラクターの様子もしっかり伝わってきます。ミサイルが落とされるとき、その現状を信じたがらないヒルダを強引にシェルターに連れ込むジム、そして放射能の風がついに夫妻の家に来たときの記念写真の場面、本当リアルです。DVDになってないのが残念です。
毎年テレビ放映してほしいくらいと伝えていってほしい物語と思います。
2008年06月23日 20:27
らいおさん、コメントありがとうございます。
「火垂るの墓」もいいけど、この映画も毎夏に放映してほしいですよね。核兵器の恐ろしさは、忘れてはなりませんよね。
しかし、放射能の恐ろしさというのは実は「兵器」でなくても同じで、世界中で建設ラッシュの原発、通常稼動でも放射能が日々海と大気を微量ながら汚しているんですよね。
平和利用ならOK、その設計は絶対安全、となかば信じている原発大国の私たち、ジムとヒルダ夫婦みたいなのではないかと感じる今日この頃なのです。
2009年08月09日 13:40
映画ブログの晴雨堂ミカエルです。
 
この映画、あれだけ評判だったのに日本では全国上映されず、市民会館やミニシアターでの上映にとどまっています。事情ご存知ですか?
2009年08月09日 15:38
晴雨堂ミカエルさん、いつもトラックバックありがとうございます。
この映画は、当時、大阪の映画館で観ました。
事情はよく知らないのですが、ミニシアター系映画の扱いでしたね。今でこそ原作絵本も有名になり、評価が固まっていますが、当時は「知る人ぞ知る」って感じだったので、ミニシアター扱いでも、そんなに不自然には感じてなかったです。
それに、ミカエルさんもブログで言及されてたように、当時は反核映画と言えば「はだしのゲン」で、それに比べたらこの映画の表現は生ぬるい?的な批判があったことも事実です。
でも今改めて見なおしてみると、直接的な残酷描写がないから「生ぬるい」ということではなく、老夫婦の姿を通して、見えない静かな恐怖がひしひしと迫ってくることを感じます。
見るほうもそれだけ大人になったってことですかね。