「グエムル」面白かったー。
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「グエムル 漢江の怪物」を遅ればせながら観てきました。
【公式サイト】
http://www.guemuru.com/
傑作「殺人の追憶」のポン・ジュノ監督がなにゆえ怪獣映画? と思ったし、予告を見る限りB級の臭いがプンプン…。CGの怪獣にもあまり魅力を感じないし…。
というわけで、ソン・ガンホ出演映画にハズレなし!と確信していた私も、今回ばかりはハズレじゃない? と思って、パスしようかと思っていたくらいの映画だったのですが・・・。
観てみたらこれがすごく面白かったです。
ただの怪獣映画ではありませんよ!
以下、ネタバレなしで感想を。
まず娘を怪物にさらわれた父親カンドゥ(ソン・ガンホ)・・・だけでなく、おジイちゃんからオジさんオバさんまで、一家総出で怪物退治に向かうのが、とても韓国らしい。
韓国らしいといえば、怪物に襲われて死んだ人々の合同葬儀場で、遺族のみなさんが大声上げて身をよじらせて、転げまわって泣きまくっているのも韓国流。
これが日本だったら、泣きくずれこそすれ、声を殺してじっと悲しみに耐え・・・ってところなんでしょうけど、こういうときは思いっきり泣きまくったほうが精神衛生上よろしいのかもしれませんねえ。
そう、この映画を見ていると、現代韓国社会がとてもよくわかるんです。
ガンホ一家は漢江の河原で細々と売店を営む下層の人たちで、
弟(パク・ヘイル)は大学出だけど就職難でフリーター。
そして長男カンドゥ(ガンホ)は学もない怠け者ときているから、さらわれた娘がまだ生きてる!と訴えても、警察にも誰にもまともにとりあってもらえません・・・。
韓国でも日本以上に下流切捨てが進んでいるんだなということが、ひしひし伝わってきます。
そんな一家が、自分たちだけで怪物に戦いを挑むのですが、
武器は旧式のライフルに、妹(ペ・ドゥナ)の特技のアーチェリーに、弟が学生運動でならした火炎瓶・・・ていうのがまたなんとも。
緊迫する怪物との対決・・・のはずなのに、
「こんなところで笑いをとるかっ!?」というシーンでズッコケお笑いシーンが入るのも、韓国映画のご愛嬌です。
(ちなみに映画館で私の後ろに座っていた人たちは韓国人だったのか、劇場で手たたいて大笑いしてました。すげー盛り上がり。(笑)
いやいやお笑いだけでなく、怪物グエムル、けっこう怖かったんですよ。
ホラーが苦手な人は要注意かも。
なにが怖いって、この映画、音響効果がすばらしいですね!
ズシン! ってグエムルが近づいてくるときの足音が、すっごく怖いんです。
グエムルがドン!と倒れたときは、ビリビリビリって身体に振動がきました(笑)。
ぜひ音響の良い映画館で観てほしいです。
怪物グエムル以外にもうひとつ恐ろしいのは、米軍の所業です・・・。
駐韓アメリカ軍は、ずいぶん悪者に描かれていますね。
怪物退治に介入し、恐ろしい細菌兵器を使用しようとするなんて・・・。
そんな政府と米軍のやり方に市民たちが猛反発して、大規模なデモに発展するところもまた、いかにも韓国らしい。
下流社会の悲哀をユーモラスに描きつつ、そんな彼らだからこその固い絆も描いていて、
この映画は実は決して怪物映画ではなく、人間を描いた映画なんですよね。
だから怪物のキャラがあまり立ってなくても、それは別にいいのでしょう。
第一「グエムル」ってのも「怪物」の韓国語ってだけみたいだし。
ラストシーンも秀逸。
時が過ぎれば、もうアメリカの思惑がどうだったなんて政治的なことにはすっかり興味を失ってしまうのもまた一般庶民。
政治とか難しいことはワカンナイけど、怪物や権力に翻弄されれば、愛する家族を守るために身体を張って立ち向かう。
そんな愛すべき庶民の姿を描いているところは、監督は違うけどやはりガンホ主演の「大統領の理髪師」に通じるところもあるなあ。
というわけで、ユーモアとサスペンスの波状攻撃の中に、社会と人間への深い洞察が潜んでいるところは、やっぱりさすがポン・ジュノ監督、だったのでした。
さて今まで私、韓国映画を見ても、なぜかあまり韓国に行ってみたいとは思わなかったのですけど、「グエムル」見ていたらがぜん行きたくなりました!
だって、怪物が出る前の漢江の風景が、とってものどかで楽しそうだったのだもの。
売店でビールやお菓子や、でっかいスルメをあぶってもらってピクニック。
私もやってみたーい!
グエムルが出たら困るけどね(笑)。
「グエムル 漢江の怪物」を遅ればせながら観てきました。
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というわけで、ソン・ガンホ出演映画にハズレなし!と確信していた私も、今回ばかりはハズレじゃない? と思って、パスしようかと思っていたくらいの映画だったのですが・・・。
観てみたらこれがすごく面白かったです。
ただの怪獣映画ではありませんよ!
以下、ネタバレなしで感想を。
まず娘を怪物にさらわれた父親カンドゥ(ソン・ガンホ)・・・だけでなく、おジイちゃんからオジさんオバさんまで、一家総出で怪物退治に向かうのが、とても韓国らしい。
韓国らしいといえば、怪物に襲われて死んだ人々の合同葬儀場で、遺族のみなさんが大声上げて身をよじらせて、転げまわって泣きまくっているのも韓国流。
これが日本だったら、泣きくずれこそすれ、声を殺してじっと悲しみに耐え・・・ってところなんでしょうけど、こういうときは思いっきり泣きまくったほうが精神衛生上よろしいのかもしれませんねえ。
そう、この映画を見ていると、現代韓国社会がとてもよくわかるんです。
ガンホ一家は漢江の河原で細々と売店を営む下層の人たちで、
弟(パク・ヘイル)は大学出だけど就職難でフリーター。
そして長男カンドゥ(ガンホ)は学もない怠け者ときているから、さらわれた娘がまだ生きてる!と訴えても、警察にも誰にもまともにとりあってもらえません・・・。
韓国でも日本以上に下流切捨てが進んでいるんだなということが、ひしひし伝わってきます。
そんな一家が、自分たちだけで怪物に戦いを挑むのですが、
武器は旧式のライフルに、妹(ペ・ドゥナ)の特技のアーチェリーに、弟が学生運動でならした火炎瓶・・・ていうのがまたなんとも。
緊迫する怪物との対決・・・のはずなのに、
「こんなところで笑いをとるかっ!?」というシーンでズッコケお笑いシーンが入るのも、韓国映画のご愛嬌です。
(ちなみに映画館で私の後ろに座っていた人たちは韓国人だったのか、劇場で手たたいて大笑いしてました。すげー盛り上がり。(笑)
いやいやお笑いだけでなく、怪物グエムル、けっこう怖かったんですよ。
ホラーが苦手な人は要注意かも。
なにが怖いって、この映画、音響効果がすばらしいですね!
ズシン! ってグエムルが近づいてくるときの足音が、すっごく怖いんです。
グエムルがドン!と倒れたときは、ビリビリビリって身体に振動がきました(笑)。
ぜひ音響の良い映画館で観てほしいです。
怪物グエムル以外にもうひとつ恐ろしいのは、米軍の所業です・・・。
駐韓アメリカ軍は、ずいぶん悪者に描かれていますね。
怪物退治に介入し、恐ろしい細菌兵器を使用しようとするなんて・・・。
そんな政府と米軍のやり方に市民たちが猛反発して、大規模なデモに発展するところもまた、いかにも韓国らしい。
下流社会の悲哀をユーモラスに描きつつ、そんな彼らだからこその固い絆も描いていて、
この映画は実は決して怪物映画ではなく、人間を描いた映画なんですよね。
だから怪物のキャラがあまり立ってなくても、それは別にいいのでしょう。
第一「グエムル」ってのも「怪物」の韓国語ってだけみたいだし。
ラストシーンも秀逸。
時が過ぎれば、もうアメリカの思惑がどうだったなんて政治的なことにはすっかり興味を失ってしまうのもまた一般庶民。
政治とか難しいことはワカンナイけど、怪物や権力に翻弄されれば、愛する家族を守るために身体を張って立ち向かう。
そんな愛すべき庶民の姿を描いているところは、監督は違うけどやはりガンホ主演の「大統領の理髪師」に通じるところもあるなあ。
というわけで、ユーモアとサスペンスの波状攻撃の中に、社会と人間への深い洞察が潜んでいるところは、やっぱりさすがポン・ジュノ監督、だったのでした。
さて今まで私、韓国映画を見ても、なぜかあまり韓国に行ってみたいとは思わなかったのですけど、「グエムル」見ていたらがぜん行きたくなりました!
だって、怪物が出る前の漢江の風景が、とってものどかで楽しそうだったのだもの。
売店でビールやお菓子や、でっかいスルメをあぶってもらってピクニック。
私もやってみたーい!
グエムルが出たら困るけどね(笑)。
この記事へのコメント
私はハンガンあたりで、韓国人の友達とお散歩して楽しかった思い出があったので、河の方に、その景色に見入ってました(笑)10月にソウルに行くので、その時にグエムルの地にも行って来ます。
韓国の家族愛の強さがひしひしと伝わってきた映画でしたね。
でも、私はヌルヌル怪物はダメでした。ホラー映画は生まれてこのかた見たことないくらい嫌いなので・・・かなり嫌なシーンも多かったです(苦笑)
>怪物グエムル以外にもうひとつ恐ろしいのは、米軍の所業です・・・。
ある意味グエムルより恐ろしいと思いました。
しかし、こういう映画を日本でも創る勇気のある(?)監督さんいないんでしょうか?
この前シュガー&スパイス見て、余計にそう思ってしまいました。
韓国の人は感情表現がストレートなので、こういう映画は盛り上がるんでしょうね。
でも賛否あるみたいで未だに迷っています(苦笑)
私もホラー映画は苦手で、グエムルちょっと怖かったです。足音が近づいてくるたび、「ひっ!!」てなってました(笑
)。でも、ソン・ガンホのダメ親父っぷりが最高で、何度も笑わせてもらいました。それに傲慢なアメリカ&弱者切捨ての韓国政府への批判パンチもめちゃめちゃ効いていて小気味よかったです。日本の映画界はほんとに意気地がないですよね。韓国には体制批判もたくましい庶民根性も立派に健在なのに、日本はもうダメダメなんでしょうか。
それはともかく、ハンガンの風景はとても印象的でした。10月楽しんできてくださいね。
映画館の韓国人観客の楽しそうなノリが、ちょっとうらやましかった私です。
私もほんと、見るまで「なんだかなあー」って思っていました。期待してなかったからかえってよかったのかもしれない?けど、ソン・ガンホの演技はやっぱ最高でした。
この映画、たしかに賛否分かれると思います。ふつうに怪獣映画と思って見たら、なんだかなあー?なのかもしれませんが、韓国に少しでも興味があれば、絶対楽しいと思います。ラストもハリウッド映画には絶対ありえない展開になりますから・・・でも私はそこがいいなと思いました。