国際女性デー/ピアノ・レッスン(93・豪)
3月8日は「国際女性デー」。
今日は、女性監督がカンヌで初めてパルムドールを受賞した、
記念すべきこの映画を紹介しましょう。
ニュージーランド出身のジェーン・カンピオン監督・脚本作。
浜辺に打ち捨てられた一台のピアノ。
この原風景から、この物語は作られていったのに違いありません。
(と、昔どこかで聞いたような気もします)
女性監督ならではの感性で描かれたドラマだと思います。
ヒロインのエイダ(ホリー・ハンター)が
写真結婚で嫁いだ男・スチュワート(サム・ニール)は、
彼女の唯一の自己表現手段であるピアノを
海に置き去りにしてしまうし、妻が口をきけないことも
気にならないような男。
そんな男を夫とすることを、エイダは頑として拒否します。
対するベインズ(ハーヴェイ・カイテル)は、
エイダがピアノを弾く姿に心を奪われます。
彼女の大事なピアノを人質にとり、
レッスンを口実にエイダに逢おうとするなんて・・・
しかしここで、平気で妻をレッスンに送り出すスチュワートの
なんと鈍感で間抜けなことよ・・・。
(サム・ニールって、こういうマヌケな役がすごく似合って
しまうんですよね)
かくして非常に官能的なピアノ・レッスンが始まってしまい・・・
このレッスンの描写は、なんともエロチックで
ドキドキしてしまいます。
また、非常に仲のよい母子でありながら、
自分より恋人との逢瀬を優先する母親に対して、
嫉妬や怒りや反抗心が芽生える娘(アンナ・パキン)の心理も、
女性でなければなかなか描けない部分です。
その娘の行動がその後の重要なストーリー展開につながっていく
構成も、とても説得力があり巧みです。
しかし最も、女性が作った映画ならではだなあ!
と思ったのは、クライマックスにかけてのシーンです。
スチュワートは、エイダとベインズの情事を目撃したときは
まだ冷静なのに、エイダがベインズにしたためた
「私の心はあなたのものよ」
というラブレターを見たとたん、激昂するのです。
身体の浮気より心の浮気が許せないなんて、
女性の感覚だと思ったんですよ。
ラストにかけてのシーンも印象的ですね。
ピアノと共に、エイダも海に沈むのか・・・
てっきりそう思いました。
ところがどっこい・・・なんですよね。
これもエイダと、そしてカンピオン監督のしたたかさかなあ。
三角関係のメロドラマの中に、自分で自分の人生を
しっかりと選び取る女性の姿が描かれていたと思います。
美しいピアノの旋律と共に、いつまでも心に残る映画です。
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【記念日と映画の366日リスト】
国際的な婦人解放の記念日。国際デーの一つ。
1910年の第2インターナショナルの
コペンハーゲン第7回大会で正式に制定。
1904年、ニューヨークの女性労働者が参政権を求めて
集会を開いた日。
日本では1923(大正12)年、社会主義婦人団体・
赤瀾会[せきらんかい]が中心となり、種蒔き社の後援で、
東京・神田のキリスト教青年会館で婦人の政治的・社会的・
経済的自由を訴える演説会が開催されたのが最初でした。
今日は、女性監督がカンヌで初めてパルムドールを受賞した、
記念すべきこの映画を紹介しましょう。
![]() | ピアノ・レッスン ホリー・ハンター ジェーン・カンピオン ハーヴェイ・カイテル 紀伊國屋書店 2005-07-23 by G-Tools |
ニュージーランド出身のジェーン・カンピオン監督・脚本作。
浜辺に打ち捨てられた一台のピアノ。
この原風景から、この物語は作られていったのに違いありません。
(と、昔どこかで聞いたような気もします)
女性監督ならではの感性で描かれたドラマだと思います。
ヒロインのエイダ(ホリー・ハンター)が
写真結婚で嫁いだ男・スチュワート(サム・ニール)は、
彼女の唯一の自己表現手段であるピアノを
海に置き去りにしてしまうし、妻が口をきけないことも
気にならないような男。
そんな男を夫とすることを、エイダは頑として拒否します。
対するベインズ(ハーヴェイ・カイテル)は、
エイダがピアノを弾く姿に心を奪われます。
彼女の大事なピアノを人質にとり、
レッスンを口実にエイダに逢おうとするなんて・・・
しかしここで、平気で妻をレッスンに送り出すスチュワートの
なんと鈍感で間抜けなことよ・・・。
(サム・ニールって、こういうマヌケな役がすごく似合って
しまうんですよね)
かくして非常に官能的なピアノ・レッスンが始まってしまい・・・
このレッスンの描写は、なんともエロチックで
ドキドキしてしまいます。
また、非常に仲のよい母子でありながら、
自分より恋人との逢瀬を優先する母親に対して、
嫉妬や怒りや反抗心が芽生える娘(アンナ・パキン)の心理も、
女性でなければなかなか描けない部分です。
その娘の行動がその後の重要なストーリー展開につながっていく
構成も、とても説得力があり巧みです。
しかし最も、女性が作った映画ならではだなあ!
と思ったのは、クライマックスにかけてのシーンです。
スチュワートは、エイダとベインズの情事を目撃したときは
まだ冷静なのに、エイダがベインズにしたためた
「私の心はあなたのものよ」
というラブレターを見たとたん、激昂するのです。
身体の浮気より心の浮気が許せないなんて、
女性の感覚だと思ったんですよ。
ラストにかけてのシーンも印象的ですね。
ピアノと共に、エイダも海に沈むのか・・・
てっきりそう思いました。
ところがどっこい・・・なんですよね。
これもエイダと、そしてカンピオン監督のしたたかさかなあ。
三角関係のメロドラマの中に、自分で自分の人生を
しっかりと選び取る女性の姿が描かれていたと思います。
美しいピアノの旋律と共に、いつまでも心に残る映画です。
![]() | ピアノ・レッスン マイケル・ナイマン ミュヘン管弦楽団 by G-Tools |
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【記念日と映画の366日リスト】
この記事へのコメント
ほんとにあのシーンはエロいですよねー。
ハーヴェイ・カイテル変態だし!
でも真面目で面白みのない男より、荒っぽくて変態チックな男に惹かれてしまう心理って、これまた確信犯ですよね!!
それにしても、あの曲をピアノで弾けるなんてカッコいい&うらやましい!! 私もサントラは買っちゃいましたけど、もし弾けたらすっかりエイダになりきって浸っちゃうでしょうねー。ほんと、こうして思い返しても酔っちゃうような映画でした。
ジェーン・カンピオン監督、巧妙です。この映画を観終わった後、軽いショックを覚えました。今は亡き親友と観にいったので、思い出深い映画です。
なにせイメージから意表をつかれました。「海とピアノ」でしょ。絵もいいし。
それに、お二人がおっしゃるように超EROTIC!息苦しいほどでしたね。
ハーヴェイ・カイテル、存在感あり。男くささムンムンでしたね。こんな男は周りにいないわー(笑)
映画のあと親友とどんな会話を交わしたんだったのかな~EROTIC路線かしら?(笑)
彼女が本屋のSFコーナーで立ち読みしているときに、声かけてきた男としばらく付き合ったという話かも。いい女だったから・・
nnn・・私にはありえないことだ(笑)
サントラのCD、彼女に貸したままです。天国まで持っていっちゃったのかなあ~
(いろいろ思い出して長話になってしまいました。<(_ _)>)
エロチックでありながら、とても芸術的な作品でしたよね。海辺でピアノを弾くエイダと、それに合わせて踊るアンナ・パキンちゃん、それを見つめるベインズ・・・あのシーンも忘れられませんね。
お友達・・・美人薄命ってほんとなんですね・・・
でもきっと今ごろ、天国であの美しいピアノの旋律を聴いて、思い出に浸っているかもしれませんね!
私もピアノには特別な思い入れがあるので、ピアノが海に沈んだシーンでは号泣しました。ところで以前、「探偵ナイトスクープ」で、劇中、現地の人が日本語しゃべっているとやっていました。「あんなところは生きて通れねえ」と。ほんとにそうしゃべってました。偶然ですがすごいです~笑
あっそれ知ってる! 私も見た気がします。
原住民の人に道案内してもらうシーンでしたっけ。そら耳映画版!?ですよね。
ナイトスクープは、関東では地方局でずいぶん遅れてしかやってないんですよねー。って、だんだん違う話になってきました。いつものことですが(笑)
>「探偵ナイトスクープ」
関東でも放映されているんですか!
>「あんなところは生きて通れねえ」
は??ですが、私がときどき働いてるビルの中に、その番組を製作しているプロダクションがありますよ!そこのボスはカッコよくてとても感じのいいかたです。・・って話しまたそれました(笑)