映画「告白」  ---は現代のカチカチ山(笑)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)湊 かなえ

双葉社 2010-04-08
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原作は読んでいないのですが、本屋大賞受賞作、
映画は「下妻物語」「嫌われ松子の一生」の
中島哲也監督ということで、
興味津々、観にいってきました。

娘を殺された女性教師(松たか子)が、
教え子に復讐をするというお話。
感想はというと・・・。

うーん、私はあんまり好きじゃなかったかな。
だって、現実に中高生の間で殺傷事件が頻発している昨今、
フィクションと笑い飛ばせる気分じゃないかも・・・。

でも評判はいいみたいですよね。
私も映画としては、よくできていると思います。
演出も、俳優さん達の演技も。

しかし、子供同士の殺し合いならまだしも、
いい大人が子供に仕返しっていうのもなあ、と。

少年法に守られている」っていう言葉が頻々と出てきますが、
それでも「少年」が「大人」より優位に立つとは思えない。
やっぱり子供って弱者じゃないかな。
たとえそれが「恐るべき子供たち」であっても。

と、腑に落ちない気分でいたんですが、
たまたま太宰治の「お伽草子」を読んでいて、
ああ、この話って「カチカチ山」だったんだ、と
ちょっと腑に落ちました(笑)

「カチカチ山」はみなさんご存知、
おばあさんを殺されたおじいさんに代わって、
ウサギが悪いタヌキに仕返しをするという物語です。

しかし太宰治も書いてるのですが、
この仕返しがあまりにも残酷。
タヌキの背中に火をつけて大火傷を負わせた上に、
死にそうなタヌキの背中にさらに唐辛子を塗る。
最後は泥舟に乗せて溺死させ。

たしかにおばあさんを殺した罪は重いですが、
タヌキも元はと言えば、おじいさんにタヌキ汁にされそうになった
気の毒な身の上。

だからといって、優しいおばあさんをだまして逃げるついでに
殺して「婆汁」にし、おじいさんに食べさせたなんていうのは、
これはもうR-15指定ものの残虐行為ですが、
あそこまでネチネチと苦しめた上に
殺さなくてもいいのではないかと、
太宰治も言っている。

ではなぜ、ウサギはそこまで残酷な仕返しをしたかというのは、
これまた太宰の解釈がケッサクなのですが、
それは青空文庫ででもお読みください。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/307_14909.html

というわけで、映画「告白」は、女性教師が女性ならではの残酷さで、
男子生徒に徹底的な復讐をするというお話。

「カチカチ山」のおじいさんが、
よりによってウサギさんなどという動物に
おばあさんの復讐をゆだねてしまったのと同様、
「告白」の教師も、自分ではあんまり手を下さないんですよね。
人をそそのかしたり、なんだりで。
そういうところも、似ていますね。

でもこの「カチカチ山」対「告白」は、
(↑勝手に対決させる私)
カチカチ山の勝ちのような気がします。

なぜなら、カチカチ山のウサギは、
「更生」なんて偽善的な言葉は口にしないからです。
徹底的にやって、殺しちゃうし。

復讐物語というのは映画のひとつの定番で、
完全フィクションの世界でやる分には面白いし、
観客としてカタルシスも得られるものです。
その中において、

仮にも復讐を誓って実行しようという者が、
「更生」なんて言葉は口にしてはいけないと思うんですよ、作劇上。
第一、復讐にとりつかれた人間は、「更生」なんて言葉は
頭にこれっぽっちも浮かばないはずなんですが・・・。
そのへんちと、納得がいきません。
それに、カタルシスもないですよ、この映画。
(まさかラストで、やったね!! でもないですよね、この映画?)

とまあ、センセーショナルではあるけど、
結局、何が言いたいのかよくわからない映画でした。
少年法に異議を唱えてる? わけでもなさそうだし。
最近の子供は怖いよー、ってことでしょうか。

しかし映画でそれを知らせてもらったところで、
いったいこっちはどうすれば!?
ああそうか、いざとなったら復讐ですか。
私には無理なんで、ウサギさんに依頼します。(笑)


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