「冷たい熱帯魚」~またすごい映画を観てしまった

園子温監督の衝撃の18禁映画、「冷たい熱帯魚」を見ました。

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私の映画鑑賞史上、こんなにもたくさん血が出る映画は初めてでした・・・。
(ふだんスプラッター映画とか見ないので・・・。)
見終わったあとマジで気持ち悪かったです・・・そして、

からあげだけは当分食べたくない

そんな気持ちにさせる映画です・・・(?)

小さな熱帯魚店を経営する優柔不断な中年男(吹越満)が、
ひょんなことから知り合った同業者・村田(でんでん)のために、
とんでもない事件に巻き込まれてしまう・・・。そんな話ですが、

これは実は、1993年に埼玉県で起きた、「愛犬家連続殺人事件
をモチーフにした話ということです。

Wiki の記事を読んだだけでも、この事件の異常性がうかがえます。
そして、事件の共犯者が書いたというこの手記が、
この映画の実質的な「原作」と言ってもいいのかもしれません。

愛犬家連続殺人 (角川文庫)愛犬家連続殺人 (角川文庫)
志麻 永幸

by G-Tools


Amazon のサイトの解説と、「なか見!検索」で
目次と中身を少し試し読みしただけでも、
映画の中で、でんでん演じる「村田」の「名セリフ」がいくつか出てきてますからね。

世間からは忘れられつつあったこの事件の記憶を、
「冷たい熱帯魚」が蘇らせてくれた功績は大きいような気がします。
何気ない日常生活の隣には、
実はこんなにも真っ暗な闇がぽっかりと口をあけていて、
私たちもいつ引きずりこまれるかわからない、ということを
思い出させてくれるからです。

徹底的にこの世の「闇」を見せつけてくれるこの映画は、
不思議なことに、どこか爽快でもあります。
笑える箇所も多々ありますし。
「ここで笑っちゃ不謹慎だろ!」と思うようなシーンで、
なぜか笑えちゃうんですよねえ。

しかしこの映画のどこか突き抜けた爽快さがどこから
くるかというと、それは、通常の映画によくありがちな
「家族の絆」だとか「家族とはこうあるべき」とか、
「最後に愛と希望が見える」とかいった、そんな

しょうもないお約束

は最初から一切抜きの映画だからなんでしょうね。
「しょうもないお約束」ありきの映画は、時に疲れますからね。

この世には、心の底から憎みあう親子もいれば、
死刑なんかにお構いなく平気で殺人を行う人がいるのも現実。
そんな「リアル」がこの映画にはあります。

波風立てずにいれば平和に暮らせるだろう、とか、
死刑制度があれば凶悪犯罪も抑止されるであろう、とか、

そんな子供じみた甘っちょろい考えは、
この映画を観ると吹き飛んでしまうぞ。

私たちの多くが、そんな虚構に必死にしがみついて
生きようとしているからこそ、
この映画は、そんな人生のストレスを
きれいさっぱり吹き飛ばしてくれるのでしょうね。

しかし、でんでんさん。
お笑いスター誕生に出ていたなあ、なんて言うと年がばれますが、
本物の殺人犯のアクの強さや毒気とはこんなものなのかなあと
思えるような、すごい演技でした。

そして、連続殺人に巻き込まれる中年男、吹越満さんも、
あの徹底的な主体性のなさ&事なかれ主義、
そして娘にも徹底的にさげすまれ、
家庭に居場所のない哀れな現代のお父さん代表?
みたいでしたねー。
映画の毒気に当てられて、私もどんどん
意地悪な書きっぷりになってしまいますが。

でも主体性のない流されやすい人物像って、
いちばん自分に近いものを感じてしまうのも確か。

そうだ、主体性のない吹越満が現代の「日本」で、
「村田」が「アメリカ」と考えたらどうだろう。
となると、将来日本はまた血みどろの戦いに巻き込まれ・・・。

わあ~くだらない深読みになってきたからもうやめた。
あな恐ろしや~。

「家族愛」だとか、「余命数ヶ月」だとかの映画に
食傷気味のオトナのあなた、
口直しにぜひこの映画を観るべし!!!

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